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ジェイン・オースティンの優雅な生活
 
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ジェイン・オースティンの優雅な生活 [単行本]

松村 紀代子
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

1800年、ナポレオンやら産業革命やらの時代に25歳だった「世界一平凡な」という枕詞のつく古い作家の小説が、今も愛され読み継がれる不思議を追って!21世紀のJA論。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

松村 紀代子
1940年、旧満州新京市生まれ。東京女子大英米文学科卒。(株)文藝春秋で編集者生活10年ののち、フリーに。演劇評論家の小田島雄志は実兄。“草村もや”のハンドル・ネームで、ネコ話中心のブログを開設中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 184ページ
  • 出版社: 近代文藝社 (2010/06)
  • ISBN-10: 4773377143
  • ISBN-13: 978-4773377149
  • 発売日: 2010/06
  • 商品の寸法: 19.2 x 12.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
21 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By kirakira033 トップ1000レビュアー
形式:単行本
本書の存在を初めて知った時は『優雅な生活』という言葉に違和感があり
ジェインの人生には少しふさわしくない気がしたのだが、 読み終えてみて、「優雅」はいわゆる
「家族や親戚たちの温かい愛情に囲まれたジェインの生活」を指すのなら、これで良いのだろうと思った。

章建ては以下の通り。

○おおぜいの家族のなかで
○オトコノコ文化・オンナノコ文化
○もしも死んでいたら
○恋と結婚、恋愛生活についても
○お金、仕事、老後の問題
○バースあちこち
(まえがき・あとがきと付いているが、これがまた一つのエッセイのようで、
中身があって非常に面白い。ついあとがきから読み始めてしまった。)

各タイトルを見ればその内容はだいたいご想像がつくかと思われる。

本書は作品自体よりもジェインの生活とその家族の話に焦点が当てられている。
文豪の域に入るオースティンだけあって、語られる事は実際出尽くした感のある事柄がほとんどなのだが、
それでも本書をお薦め出来るポイントとしては、身内の回想という何よりの証言が数多く引用されていることだろうか。
回想を提供するのはおなじみの甥姪達なのだが、彼らのその後の人生にもちょっと触れてくれていたりする。
晩年のファニー・ナイト(ジェインの姪)は、気難しくあまり人好きのしない老婦人だったというのはさもありなん、だ。
ジェインの兄弟姉妹については言うまでもなく一人ひとりきちんと記述がある。

他にも「え、そうだったの」という事が結構あり、物によっては初耳だったり既知の情報の再確認だったりした。
(こまごまとしている上に単に私の知識不足かもしれないので例を挙げるのも難しいのだが、しいて一つ挙げれば収入や債券に関する記述など。)
ジェインの伝記でもない限りたいてい数行で済まされてしまうような人物にも数十行〜多くて3、4頁割き(情報量としてこの差は結構大きい)、
彼女がその人達をどう思っていたか、どんな交流をしていたのか、彼・彼女たちのその後についてなど、詳しく教えてくれるのも嬉しい。
ジェインが親しくしていたナイト家のガヴァネス、アン・シャープや兄エドワードの養母ナイト夫人についてなど、結構詳細だ。
(出版時ジェインに贈られた12部の『エマ』のうちの1冊を身内以外でもらったただ一人がアン・シャープだったのは興味深い。)

文章は軽快で非常に読みやすく、表現もとても親しみ深くて時に茶目っ気があって、温かみを感じる。
ジェインを評して「プチ内弁慶」とはよく言ったもので、彼女の性質の一面を端的に表現しているなぁと思う。
また、マンスフィールド・パーク執筆にあたり、海軍軍人の弟チャールズに彼の乗船した船の名を作品に借りてよいか
手紙で尋ねたジェインに、これにOKを出しつつも、その事でもし世間に正体が判明してしまったらイヤじゃないのかい、
と気遣う彼に対し、「もうバレバレだからいいの」と返事をした(P41)、という記述からは、
この意訳の仕方に著者自身の鮮やかなジェイン像とでもいうものを見せられた気がする。
自分はこの部分がとても気に入ってしまった。著者の中の生き生きとしたジェインのイメージが伝わって来るからだ。
このように温かく快活な語りに導かれ、きっと楽しく読むことができると思う。
なお、モノクロ写真や図版が数枚、あとはオースティン家の家系図が見開きで掲載されており、これは結構重宝する。

内容とは離れるが、美しい装丁もすっかり気に入ってしまった。
カバーの紙質はつやつやとしており、印刷の感じも良いし、表紙の絵もとても素敵だ。
「Victoria & Albert Museum蔵」とあるので、当時のカタログか何かかと思われる。様相をよく伝えている。

気軽に読めるオースティン本としてお薦めだ。彼女の関連本はもうかなり色々読んでいる方でも十分楽しめると思う。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By NA
形式:単行本
 ジェイン・オースティンは自分の専攻分野とかなり離れているので、それだけで敬遠してきた。チャールズ・
ディケンズやD・H・ローレンスは読んだことがあり、19世紀イギリス産業社会の実態を知るにはこれらの作家の
作品を読むに限ると思い込んでいた。『高慢と偏見』『エマ』『知性と感性』・・・。これらのタイトルの本を
読んでいる友人を片目に見ながら、ヴィクトリア朝ならともかく、それより前の時代のイギリス文学の何が面白いん
だろうと、高を括ってきた。
 それが本書を読んで、オースティン鋭い人間観察眼の持ち主で、さらに重要なことに「茶目っ気」と「温かみ」
があることを教えられ、オースティンの作品のどれもまだ繙いて来なかったことを、大いに恥じ入っている
次第である。今後の予定読書リストに是非加えなければならないと思っている。
 本書は「なだらかな」(175頁)オースティン評である。筆者が「あとがき」で述べているように、オース
ティン研究の文献はあまたある。もちろんそれらにあたることも有益であろうが、筆者のようなスタンスも
大いに意義があるように思う。残され160通ほどの手紙と家族のなかでの〈伝説〉を元に、筆者の想像を
交えながら、オースティンの実像を描く試みは、実証的リサーチや緻密な文学批評とは異なる成果を生ん
だ。
 「ひそかなワルクチや目くばせの交換、気づかれないほど小さなイジワルでガス抜きしつつ、いっぽうで
その相手と、真剣に、愛情をこめたやりとりを交わしあう、そんなタフで複雑な味わい」(19頁)というのは、
オースティンの人間関係を言い表した巧みな言葉であるが、さもありなんと想起させるのはむろん原作の持つ
ポテンシャルであるが、オースティンに惹かれてきた筆者の修辞技巧でもある。「イジワル」「ガス抜き」
「オトコノコ」「オバアサン世代」など今風の片仮名表現がやや多く散見される――「優雅な生活」ということ
とは大分ニュアンスが異なる――が、もしかしたら200年前のオースティンの生きた世界を描くには、このような
言葉の方がより適しているのかも知れない、と思った。
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