「ペルディード・ストリート・ステーション」のSFともファンタジーとも言い難い味は
本書所収の「鏡」でも十分に楽しめました。鏡の向こう側からの侵略。ファンタジーか
ホラーに終わりかねない話をSF調でしかもサスペンスフルに仕上げた技量は信頼できる
ものです。これを読んでボルヘスも読みたくなりました。
表題作からはじめてミエヴィルを読むと、ややとっつきにくいかもしれません。コミック
の「前線へ向かう道」は原書で読みましたが、邦訳で読んでもやはりわかりにくい。
それでも1984年的な世界の強烈なイメージが残ります。
概してダークで退廃的な世界が舞台ながら、妙な懐かしさも持っている。まだまだこれ
から変化していく楽しみな作家の短編集です。