十二イマーム派を中心とするシーア派を扱った概説書。
これまで、シーア派に関する比較的纏まった日本語の概説書が存在しないことは、
諸多の研究者の方から指摘されていたことなのですが。
ようやく出たな、という感じでしょうか。
ただ、
著者の桜井啓子氏は、主として現代のシーア派、
特にイランを中心とする十二イマーム派の社会・政治を御専門とされておられるためか、
本書においても近現代以降に関する記述に重点が置かれており、
「シーア派からみたささやかなイスラームの入門書」(「まえがき」)というよりは、
「近・現代におけるシーア派(十二イマーム派)社会の政治動向とその性格」
に関する本、という風に考えて読む方がよいかもしれませんね。
いずれにせよ、
巻末の主要参考文献一覧、マルジャア・アッ=タクリード一覧なども含め、
この方面に対して関心を抱く人にとっては有用な情報を多く含む本だと思います。
シーア派ならずとも、イスラームというものに興味をお持ちの方ならば、
一読されてみても損にはならないかと。