ずいぶんと賛否のわかれた映画です。私も最初はあまりに退屈で熟睡してしまいました。
米映画にでてくるあいかわらず変な日本人とか…。
しかし,何かひっかかるものがあり,しばらくたったあとに見返したところ,評価が一変して,個人的なベスト映画の1つになりました。
理解しにくい映画だと言われていますが,以下のようなことを前知識としてもっておけば,かなりわかりやすくなるのではないでしょうか。あくまで私見ですが…。
この映画全体を貫いているのは「人間は物質レベルでは個別の存在であるが,精神レベルでは互いに結合されており,世界のすべてが精神的には一体である」というスピリチュアル・ワンネスと呼ばれる古代からある思想だと思われます。
このことは映画の冒頭近くの「人間は1つの大きな魂を共有しているのか。幾つのもの顔を持つ1人の男なのか…。」という台詞などから察せられます。
(なお,DVDのカバー写真は3人の男の眼のアップなんですが,この世界観を端的に表現している意味で秀逸であると思います。それとラスト近くに,主人公の1人であるウィット二等兵が現地の子供たちと水中でたわむれるシーンがあるのですが,これも映画の世界観を端的に表わす映画史上に残る名シーンだと思います。あくまで個人的にですが…。)
何度も脱走を繰り返す軍隊(社会)不適応者ながら,ウィット二等兵は,仲間と部隊の危機を救うためにあえて危地に赴くのですが,彼はこういった世界の一端(作中では「輝き」と表現される。)をかいまみてしまった人間であり,このように理解すれば,その行動の動機も見えてくるのではないでしょうか。
作品全体を通じて,虚空の一点から「米兵」「日本兵」「現地の人々」「動植物などの自然」を含む森羅万象の「平和な営み」や「激しい葛藤」(その一部として「戦争」がある。)をまったく同列にみつめているかのようであり,その映像は極めて美しいです。
このような作品なので,血湧き肉躍るガダルカナルでの日米将兵の激闘を期待している方(私もそうでしたが…。)にはまったくオススメできません。
この映画は戦争映画ではなく,上記のような視点から,人間同士の社会活動の中でもっともドラスティックなものである「戦争」を中心素材にしているにすぎないものと思われます。
そういう意味で,単なる数十年前にあった戦争を描こうとしているのではなく,本当の意味で普遍的なテーマを内包しているように思えます。