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“象徴(シンボル)形式”としての遠近法 (ちくま学芸文庫)
 
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“象徴(シンボル)形式”としての遠近法 (ちくま学芸文庫) [文庫]

エルヴィン パノフスキー , Erwin Panofsky , 木田 元 , 川戸 れい子 , 上村 清雄
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,050 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

今日ではほとんど自明なもののように受け止められている透視図法。それは、完全に合理的な空間=無限で連続的な等質的空間を表現するために編み出されたものであり、人間の直接的経験・知覚の原理とは必ずしも一致するものではない。あくまで、ある時代の精神が求めたシンボル的な制度、教義的な形式だったのである。古代の曲面遠近法、ルネサンス期の平面遠近法の成立、近代以降の多様な展開を追いながら、時代の空間観・世界観を、広く人間の精神史と対応させて捉える。美術史・認知科学・建築論など、幅広い分野において今日いっそう参照される記念碑的論考。

内容(「MARC」データベースより)

知覚の現実に逆って、無限・等質な空間構造を作りあげる、精神史のダイナミズムを骨太にかつ精緻に描く名著。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 235ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2009/02)
  • ISBN-10: 4480091688
  • ISBN-13: 978-4480091680
  • 発売日: 2009/02
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By La dolce Vita トップ50レビュアー
形式:文庫
幾何学的、あるいは数学的に追究された遠近法と人間の視覚に写るそれとは似て非なるものであることは古来から言及されてきた。人間の網膜自体が球状である限り、平面に描かれる直線は両端で湾曲して見えてしまう。また厄介なことに人間の脳の生理的、心理的な欲求によっても視覚に写る映像は変化しうる。こうした現象を矯正するためにギリシャ、ローマ時代から絵画や建築の分野において様々な工夫がなされてきた。その後のルネサンス期のアーティスト達の遠近法論争はそうした理論と視覚の整合性を求めたディレンマの産物であったことが理解できる。それ故に著者は遠近法を象徴形式のひとつとして捉えているのだ。

本文は78ページほどだが、注釈が107ページ、そして白黒の写真図版が17ページあり、読み進める際にどうしても後半にまとめてある注と図版を首っ引きにしないと、とても理解できる内容ではない。この為に多少不便さを感じるけれど、書かれてある事柄は非常に高度で冷静な研究に基づくもので啓発的であり、また強い説得力を持っている。
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14 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 白頭
形式:文庫|Amazonが確認した購入
古代、中世、近世と絵画やレリーフにみられる空間とモノの
描かれ方を分析し、パースペクティブ=世界の把握の方法が
どのように遷移してきたかをあとづけたあまりに有名な論考。

「近世の均質的透過的空間」や「風景」といったことが議論
されるときには、ふれられることも多く、かなり以前から論
文の存在と議論のアウトラインだけ間接的には知っていた
(すでになんとなく読んだ気になっていた感すらある)。

それ自身が文庫化された意義は大きいと思う。
その考え方を知る前と後とでは、世界の見方が変わってみえ
る1冊。
初めて知る方には、是非おすすめする。

物理的、構造的にカメラの比喩で語られることの多かった
視覚について論じた部分は、画法やイコン分析を超えて、
身体的な意味論や脳科学にも通しる視覚認識における可塑性
を論じており興味深い。というより、見えるものをそのまま
みている、ということへの明らかな懐疑から、遠近法を「象
徴形式」として論じる。
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
著者のE・パノフスキーはカッシーラーの「精神的意味内容が具体的感性的記号に結び付けられ、この記号に同化されることになる」という「象徴形式」に基づき、芸術作品から観取される特定の視覚構造を時代の精神形態の反映(象徴形式)として系統づけようとしたイコロジー(図像学)を確立したことで知られている。

現代でも「普遍的」な視覚的構造として考えられ勝ちである「(透視)遠近法」が、実は西洋ルネサンス期を起点として発展する近代の精神構造(モダニティ)に特有の「理念的システム」に他ならなかったということを解き明かす。

「遠近法」は15世紀ルネサンス期の、建築に幾何学を持ち込もうとしたフリッポ・ブルネレスキや、西洋絵画を決定付けたレオン・バティスタ・アルベルティの『絵画論』などにより確立されたといわれる。

一つの視点から無限に拡がる等質的な空間構造を想定する遠近法の獲得は、数学的知の体系に基づく人の視覚空間を整合的に構成、把捉可能とした、まさに革命的な出来事だった。しかしこの画期的発見からある重大な疑問が生じることとなった。それは;

「無限で連続的な等質的空間、つまりは純粋に数学的な空間の構造は、精神生理学的空間の構造とは正反対のもの」であったし、「直接的な視覚空間においては...視空間にしても触空間にしてもユークリッド幾何学の計量空間とは対照的に<異方的>であり、<不等質>だという点で一致する」第一章

西洋の視覚構造を系譜上に遡ってみると、ルネサンスが「再生」したとされているギリシャ時代においては、このような視覚構造は存在しなかった。ギリシャ人は徹底的に自らの視覚経験に依拠した形で芸術作品の造型を行ったのである。これは中央部に丸みを持たした「エンタシス」の柱を見れば明らかである。この点ギリシャ人は経験的、感性的人間だったといえよう。

しかし、ルネサンスの人士にとってこのような論理的空間と知覚的空間との間の齟齬は解決不可能の「アポリア」であったようだ。しかし「論理的」に精確な前者が「真実」の見え方として支持された。ギリシャの偉大な先人とは異なるルネサンス期の理念的、論理的人間像がはっきりと現れている。

遠近法の発見は、「神的」視点の「人間化」であったといえ、また世界の「脱呪術化」、「世俗化」である。理念的には無限的、均質的、計量可能となった空間そして時間は、科学技術の爆発的進化とともに人間活動一般の経済化へと結びつく。これは人間社会の「近代化」への飛翔への第一歩であった。

この点、パノフスキーが解き明かした視覚構造の近代化は、単なる西洋近代絵画の成立という契機を超えて有り余る。この意味で本著は我々の世界の成り立ちを考察極めて示唆に富んでおり、思想史上においても重要な位置を占めているのである。
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