無駄なモノを買わない新しい価値観を持った「シンプル族」という消費者の実態を描き出したことは評価できます。本書を読むことで、その様な価値観をもった消費者が多く存在することも納得できます。
しかし本書の内容は、アンケートや統計の説明の繰り返しが多く、「シンプル族」の出現や実態に対する解析が不十分なことが気になり、モノ足りなさを感じます。
著者は、シンプル族は不景気が原因で増えてきたのではなく、過去30年一貫して増えてきたと述べていますが、それではぜこの時期にシンプル族の台頭に目を向けたのだろうか。現代のシンプル族は、過去のそれとどの様な違いがあるのか。現在のシンプル族はどのような嗜好の変化やライフスタイルの変遷をたどって今の価値感が築かれているのか。統計やデータの使い方もロジカルでなく飛躍した使われ方が多いのも気になります。消費実態への影響や社会的背景との関連が薄く、帯に書かれている「なぜ若者は消費しないのか」等の疑問に答えているとは思えません。
単なるナチュラル好き消費者の購買動向レポートに終わらせないように、さらに掘り下げた分析や解説をお願いしたいものです。