本書はパームコンピューティング社の歩みを記したものだ。開発に関わった人間たちのドラマとアメリカにおけるベンチャービジネスの展開が見どころであり、この製品がアイデアの段階から実際の製品になるまでのステップは、10に1つしか成功しないといわれるアメリカのベンチャービジネスの例として見ごたえのあるものになっている。パームは大脳生理学に興味をもつ1人のエンジニアがアイデアを出すところから始まる。当時開発されていた極小のノートPCのような汎用性のあるプラットフォーム、メモ帳のような携帯性と即時性、そして手書き文字を認識する機能を有したデバイスの市場性を見出した彼はパームの設立を決意する。
弱小なスタートアップ企業であるパームと、そのアイデアを認め、協力する企業との激しい交渉、アップルなどの大規模なコンピュータベンダーが発表するPDA製品との競合など、容易ならざる問題が山積みしている状況をクリアしていくようすは、経営の面からも、また技術的な面からも見どころが多く、エキサイティングである。何度も業界の低迷や資金繰りなどに苦しみながら、パームがよりよい製品を開発し、ヒットを飛ばして現在にいたっていることはよく知られているとおりであるが、1つのアイデアの実現を目指して突き進んでゆく彼らの情熱はエンジニアも、起業を目指す人も、そしてパームユーザーも見届けて損はないだろう。
企業と製品のサクセスストーリーを記した書籍はいずれも魅力的である。とくに開発にかける情熱は技術屋として最も感銘をうける部分であるが、本書はベンチャー企業であるパームを扱っているため、経営的な要素が多く含まれている点も興味を引く。パームに興味のある人、起業に興味のある人におすすめしたい。(斎藤牧人)
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ホーキンズが代表するPalmのコア精神は変わらないものの、その周りの環境は激変します。独立した会社から、US Lobotics、続いて3COMの傘下に、そしてPalmの独立が認められないが故のHandspringのスピンオフ、その後、大逆転のPalmの独立…
その環境の激変に際して、社内の人間でしか知りえないような情報が満載です。
かなり分厚い本ですが、Palmが歩んだジェットコースターのような歴史のため、飽きずに一気に読み進めます。
願わくば、この本が書かれた後のPalm, Handspring双方の低迷やHandspringとPalmの合併の経緯、そしてその成否などが書かれた続編が読みたいと思います。
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