のっけの"Perfect love"を聴きながらライナーを読めばわかるのは、本作の鍵の一つはラテンフレーバーの導入だということだ。基本がセルフカバーだから、やはりMick Hucknailも「ネタ切れ」か、なんて思ってしまいがちだし、ジャケットも相変わらず気取った感じだしなんだかなあ、と思いながら本作を買ったのだけど、いやー、なんつーか、「ちょっとの工夫でこのうまさ」っつう感じで、いいです。彼は、ビシッと歌ったときのほうが映える。カッコいい。曲によってはジャジーだし、オーケストラをしたがえたものもある。名曲"Holding back the years"もしっとりといえばそうなんだけど、本作のこの曲で響いているのは、スパニッシュなギターだ。シブさよりも、アツさを聴くべきではないかと思う。Simply Redといえば、よくレゲエを取り入れた曲をつくっていたが、アフロキューバンな香りをただよわせた曲はあまりなかったのではないかと。この人の歌には、どんなに静かな曲でも、抑えられない「熱」が感じられて、それを燃えさせてくれる音楽があったということではないか。ラテンは彼に合う。
後半になるとジャジーな雰囲気になっていて、それはそれでSimply Redらしい部分ではあるのだが、個人的には、前半の方が印象的だった。期待していなかったぶん、全体的には良かった。