ラッセル・クロウ一番のはまり役じゃないだろうか。あの少し気弱そうな表情とごつい身体は剣闘士なんかより、この役にぴったり。
最近のハリウッド映画じゃ、とんと見かけなくなった(死語か?)大恐慌時代が背景なんだけど、働きたくても働き口がなくって日々の食事代にもこと欠き、家の中で凍死しないように冬の寒さをしのぐための木切れ集めや子供の薬代の工面に狂奔する若い夫婦の姿が活写される。
街の風景がいい。昔のブルックリンが丁寧に再現されていて、全編セピアカラーで撮られているかのような印象を残す。
レネー・ゼルウィガー演じる主人公の妻が、ふくよか過ぎる、とか、身ぎれい過ぎる、といったご意見もあろうかとは思うけど、このお話は、貧しくとも明るさを失わないきれいなお母さん、旧き佳き時代の母親の原像を描いてるわけなんで、それでいいんだす。目玉ギョロつかせてキョンキョンに痩せた女が髪振り乱して走り回るとこなんか観てどーする。
その良き母親が追い詰められて、子供の命を守るためよそに預けちゃうんだけど、「家族は一緒にいなくちゃいけないんだ!」っつって泣き悲しんだお父さんが、プライドを投げ打ち、肉体の危機も省みず頑張るわけだ。強くて優しい父親の原像。
実話にめっぽう弱いアメリカ人でなくてもグッとくるよなあ。
理想の父親、理想の母親、純で一途で愛らしい子供たち。理想の家族像です。
これ、とうてい家族で見れないなあ。各自で観て、ああ、僕も、私も、こーゆー風に振舞わなくちゃ。って、ジーンときながら反省すればいいんだよね。
父親抜きで揃って見られると「それに比べてうちにいるおっさんは…」って話になっちゃうんで、父親はこのDVDを買ってはいけない。