シャ乱Qは男女関係が逆転した時代の"演歌"である。演歌の力学では男が女を捨て、女が男にすがる。終わった恋に未練がましいのは決まって女のほうだ。男性歌手が女言葉で歌うなんて倒錯パターンもあるが、基本的には女心を歌っているのである。
翻ってシャ乱Q。
あいつみたいな顔に生まれりゃきっと楽しい人生のはずなんて考えたりした(いいわけ)
このつんくの歌詞はすごい。この感性って一昔前なら完璧に"女"のものだ。あるいは、
初めて抱いた夜ほら 俺の方が震えてたね(シングルベッド)
昔っから実はそうだったんじゃないかと思う。でも、"男のほうこそ実は女である"っていうのを、こんなに素直にカムアウトしちゃうとは!90年代をそれなりに若い男として生きた者にとっても、シャ乱Qは妙にシンパシーを抱く感性なのである。シャ乱Qが男女関係が逆転した時代の"演歌"であることは、あのホストチックな衣装、どんどん細く、そして角度が付いていったつんくの眉に象徴的だ。
そして、なんといっても情けなさ、やるせなさ、どうしようもなさが溢れ、女々しさ全開なのが「ズルい女」だろう。
あんたほんといい女だったよ最後もう一度抱きたいよ(ズルい女)
これって、女と別れるのが決定的になった時"最後に一発ヤっときたい"っていう身も蓋もないけど、男なら誰しもが思ったことのある心情だ。こんな情けなくて姑息でピュアな歌もないだろう。
「歌謡曲」のキモって歌詞、言霊だと思うし、シャ乱QがJポップか歌謡曲かと言えば、その歌詞によって歌謡曲なのである。そしてつんく♂がその後進んだ方向性にもスンナリと納得出来てしまうのだ。