※念のためネタバレ注意。私の考えではネタバレが致命的なものではありませんが、自己責任でお願いします。
まず、「シロメ」というタイトルが素晴らしい。不気味さと、なんともいえない「何か」を想像させる秀逸なタイトルで、劇中の伝説もやや胡散臭いところも含めて見事。
中身は、白石晃士監督お得意のフェイクホラー。今回はアイドルユニットももいろクローバーを主演に据え、彼女たちを丸一日かけて徹底的に怖がらせることをコンセプトにしている。
よっぽど純粋な人か、白石晃士という名前を聞いた時点で(あるいはあの胡散臭い佇まいを観ただけで)「ああ、そういうことか」と作品の狙いは分かるはず。だから多くの人はこの作品の誰が仕掛け人で、どのようにして怖がらせようとしているのかはすぐにわかるだろう。よって、この作品は別段そこまで怖くない。
それでもこの作品が妙に面白いのは、やはり「ももいろクローバーはフェイクだと知らない」という、本作の特殊な設定故だろう。いわば観ている側も「仕掛け人」のような気持ちになることが可能なのだ。
しかし、肝試しで驚かせる側になったつもりが、なんだか色々仕掛けている内に自分まで怖くなる瞬間があるように、この作品も時折ちょっと背筋が寒くなるような瞬間があったりする。勿論、すべてフェイクだ。だが、恐怖とは概してそういうもので、「オバケなんていない」と言っていてもそう考えていること自体が怖かったりするものだろう。
また、ラスト付近でさらに観客側に「もしかしたらホントかもよ」というイタズラをも仕掛けており、フェイクを作り続けてきた白石晃士ならではの工夫が感じられる。
まぁ、色々御託を並べてみたが、最初に言った通り怖くはない。ただ、愚にもつかないフェイクホラーがあちこちで作られている中で、きっちり80分間楽しめるホラーを観られるのは幸せだし、今後もこういう遊び心に満ちた企画を見せてくれることを望む。