「主人公がゾンビ」
「危険なことが起こるので性的行為は禁止」
妙に既視感のある設定です。
有名作品とネタが被ってることをとやかくいうつもりはありません。
しかし、既存の作品と比べて明らかに完成度が劣っているのは問題です。
さらにこれが電撃小説大賞の大賞を受賞をしたのは、もっと問題です。
十数年間、本とは無縁の人生をおくってきた自分に物語を読む楽しさを教えてくれたのは友人がすすめてくれた
第9回電撃ゲーム小説大賞の大賞を受賞した壁井ユカコ先生の「キーリ 死者たちは荒野に眠る」です。
『この惑星に教会はあっても神さまはいない』
という一文からはじまる物語に胸をわしづかみにされ、自分が小説に抱いていた偏見を砕かれました。
そして電撃文庫のファンにもなりました。
特に新人さんの作品は毎年楽しみにしていたのですが、数年前からそこに確かな違和感が生じてきたように思います。
点数を稼ぐのが上手いだけの、無難で平凡な話が増えた気がします。
私にとって電撃文庫は新しい発見と驚きを提供してくれるライブハウスみたいな場所だったのに、三年ほど前から、そこからはラジオ体操のテーマか人気曲のカバーしか聞こえてきません。
何一つ新しくない。
何一つ届いてこない。
売れているものをただ混ぜただけ。
守りに入った新人ほど退屈なものはありません。
スリッパでも見ていたほうがまだマシです。
この作品を大賞に選んだ判断には首をかしげたくなります。
早口言葉にして10回連続で言ったら舌を噛みそうなタイトルが審査員の琴線にふれたのでしょうか。
新しいものを発掘する野心を失い、安全圏に逃げている電撃小説大賞の現状に少なからず失望しています。