青井夏海お得意の家族ものの日常の謎ものです。家族のちょっとした行き違いと、再生の姿が多視点で描かれます。若竹七海ほどの毒はなく、宮部みゆき程の情緒もありませんが、ドライな筆でどんどんドラマを引っ張って行く所が青井夏海の魅力ですね。最近の作品では良い意味の軽みが出て、その時々の「私」に適度に感情移入しながらさくさくと読んで、ちょっと立ち止まって自分のことを考える、ますますそんな感じになりました。
それにしても、単にストーリーだけで読ませてしまってもいいような作品なのに、わざわざ探偵小説の要素を諸処に持ち込んでいるのが探偵小説家の性というものなのでしょうか(笑 解説は「迷宮」シリーズと同じく、推理小説サイトでおなじみ、大矢博子さんです。あれ、いつから「書店員」じゃなく「文芸評論家」になったのかしらん。