本書は雑誌「フォーサイト」に連載された「シリコンバレーからの手紙」を内容別にまとめたもので、「シリコンバレーの基本を体感する」「ネット革命とバブル崩壊」「マイクロソフトとリナックス」「シリコンバレーは私をどう変えていったか」の4章からなっている。妻と2人で移住し、初めてシリコンバレーの価値観に触れたときの戸惑いや興奮、創業時の不安、現地のビジネス状況などが、手紙という形でリアルに語られている。世界各地からシリコンバレーに集まった天才たちの情熱とそれを育む風土、成功者として莫大な富を築き上げた者たち…。ネットバブル崩壊以前の活気あふれるシリコンバレーの状況が目に浮かぶようである。
本書は古き良き時代を振り返るだけの本ではない。著者はプロローグでも言っているように、「ネットバブルが崩壊し、シリコンバレーが失速した今も、なぜシリコンバレーにとどまって、ここで生きていこうとしている」のかを明らかにしようとしているのだ。バブルが崩壊した今だからこそ、真にベンチャースピリッツをもち続けられるかどうかが問われている。著者は、ネットバブル崩壊で元気がなくなっているベンチャー起業家にもう一度ベンチャースピリッツを吹き込む意図で、本書を出版したのかもしれない。(土井英司)
一読して、シリコンバレーに集まる人々の人生に対する態度が、日本とはあまりに異なることにショックを受ける。その象徴が「EXIT Strategy」という言葉だ。これは、どのようにして十分に稼いで、人生の早い時期に悠々自適の生活に入るかをきちんと検討しておくということ。つまりシリコンバレーでは10年ほどで一生に十分の稼ぎを得て、後は好きなことをして暮らす人生こそが理想なのである。
それを支える仕組みも充実している。斬新なアイデアに担保なしで資金を提供するエンジェルという投資家の存在。優秀な人材をストックオプションで雇える社会システム、サービスを競い患者の時間を無駄にしない病院――「会社を辞めたら食えなくなる」と考える会社人間には信じがたい、ダイナミックかつ残酷、スリリングかつ愉快な世界がそこにはある。
安定雇用を口実に安い月給でサービス残業を続け、その雇用も怪しくなりつつある日本のサラリーマンと、自分の才能を信じて億万長者になるごくわずかのチャンスを目指し猛烈に働くシリコンバレー人種とは、同じ重労働でも自ずと意味が異なる。どちらがいいという単純な問題ではないが、その実体を知って自分の人生設計を考えることには大きな意味があるだろう。サラリーマン必読の一冊だ。
( 松浦 晋也=ノンフィクションライター)
(日経パソコン 2001/09/17 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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ITベンチャーバブルの中で感じた感動や自分自身が起業して感じたことを伝えようとしたのだろうが、日記の域を出ず面白みが感じられなかった。2年前に出版された直後であればもう少しニュース的な価値もあったのであろうが、今となってはどこにでもある記事の焼き直しとしか感じられない内容であった。
初期の頃は外部者としてのシリコンバレーの印象を書いてあるが、シリコンバレーでシリコンバレー的な生活をしていくうちに、意識がシリコンバレーと一体化していく著者から見た世界という風に移り変わっていきます。
視線はあくまで低く等身大、読みやすい一冊でした。
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