原作は、広告業界を舞台にした「企業小説」の色彩が強かった。
もちろん、主人公「辰村」とその幼なじみ(勝哉と明子)が、
それぞれ抱える「影」や、自分を卒業できないでいる辰村など
いかにも! という感じの藤原伊織の世界ではあったが、
広告業界の専門用語も出てきて、戸惑う部分もあった。
それを補っていたのが、辰村の部下・戸塚の成長ストーリーだったと思う。
しかし映画では、あくまで主役は内野聖陽 演じる辰村である。
これが、ピタリ、はまり役!
ストーリーも、途中までは原作に比較的忠実だが、
サブテーマである戸塚がらみのエピソードは割愛され、
その分、辰村、勝哉、明子の「25年前」と「今」がクローズアップされる。
とくにラスト30分は、原作とはかなり異なる展開である。
しかし私にはむしろ、この展開のほうがある意味、藤原伊織的ではないかとも思えた。
やや、クサいラストシーンも、そんなに違和感はない。
内野以外のキャストも、なかなかいい。
☆を1つ減らしたのは、「相棒」で鑑識の米沢を演じている六角精児が、
ちょい役だが「悪人役」で出ていたこと。
あまりにも「米沢さん」の印象が強いせいか、
名演なのだが、やや抵抗はあった。
もっとも、映画の評価を落とすほどのものではないが……。