何年か前「好きな作家」と私が挙げた方がまだ寿命までかなりなるというのに数人なくなった。
藤原さんもその一人である。
藤原さんの描く世界の男、いわゆる破滅型、どっか崩れていて、頭はとてつもなく切れて、硬派、まさにハードボイルド。危険とわかっていても女性が惹かれてしまう男、まさに男が”惚れる”(同性愛じゃないくて)男、そんな世界にいつも引き込まれる。
今回は藤原さんが身をおいていた広告業界の内情を知る事ができた。華やかな世界で繰り広げられる広告マンたちの厳しい現実。
それはそれで非常におもしろかった。しかし、広告というものをあまり知らない者や興味がさほど無い者にとってはいつもの藤原作品のハラハラさ、ドキドキさがなく物足りなかったかもしれない。
そういう点では(広告や証券業界をあまり知らない私にとっては)今までの藤原作品のようなおもしろさは感じませんでしたが、広告業界に身を置く人、サラリーマンなどには非常に身につまされ、同調できると思います。
広告業界でならした、文章の明瞭さ簡潔さ、余計なものを省いたその冷静な筆致は健在。本当なくなられたのが悔やまれます。
サラリーマンとしてさまざまな不条理に耐えている人、耐えた人、これからサラリーマン(広告マン、銀行員、証券、メーカーなどなど)になろうとする人には特におすすめです。