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シリウスの道〈上〉 (文春文庫)
 
 

シリウスの道〈上〉 (文春文庫) [文庫]

藤原 伊織
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

大手広告代理店・東邦広告に勤める辰村祐介には、明子、勝哉という2人の幼馴染がいた。この3人の間には、決して人には言えない、ある秘密があった。その過去が25年の月日を経た今、何者かによって察知された…。緊迫した18億円の広告コンペの内幕を主軸に展開するビジネス・ハードボイルドの決定版ここに登場。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

藤原 伊織
昭和23(1948)年、大阪府生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、大手広告代理店に勤務の傍ら、執筆活動を始める。昭和60年に「ダックスフントのワープ」で、第9回すばる文学賞を受賞。平成7年には「テロリストのパラソル」で第41回江戸川乱歩賞を受賞。翌年には同作品で第114回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 351ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2006/12)
  • ISBN-10: 4167614030
  • ISBN-13: 978-4167614034
  • 発売日: 2006/12
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 藤原伊織の集大成的小説, 2007/7/14
By 
辰己 (東京都) - レビューをすべて見る
(トップ100レビュアー)   
レビュー対象商品: シリウスの道〈上〉 (文春文庫) (文庫)
ある意味で、「ビジネス小説」である。
主人公の辰村は、藤原作品の主人公に共通する「美学」を持っている。
それは、過去に生きてしまって、過去にこだわり、それでも今を
シニカルに生きている、ややキザな男だ。
これが鼻につく人は、そもそも藤原伊織の小説は読めない。
ここに、気の強い女性、インテリヤクザなどがからむ。
これまでこのパターンを、藤原伊織は頑なに崩そうとしなかった。
書評などでさんざん叩かれても、どこ吹く風で自分の小説スタイルを変えなかった。

もしかしたらそれが藤原伊織本人の美学だったのかもしれない。
末期癌を宣告されても平然と死ぬのを待ったのも彼の美学だったのか。
もちろん葛藤はあっただろうが、それを表に出さない痩せ我慢だ。

この「シリウスの道」は、主人公辰村はむしろ脇役で、
戸塚英明という若者の「成長物語」だと感じた。
最初はお坊ちゃんだった若者が、ひとりの骨のあるビジネスマンに育っていく、
その過程がむしろメインストーリーだと言ってもいい。
異論はあるかもしれないが、そういう読み方をしてもいいと思う。

最後に――
もう藤原伊織の新しい作品が読めないことは残念でならない。
ワンパターンだ、団塊の郷愁だと揶揄されながら、
我が道を行く作品を書き続けて欲しかった。
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 藤原伊織の総決算的な作品, 2007/1/14
レビュー対象商品: シリウスの道〈上〉 (文春文庫) (文庫)
  「ひまわりの祝祭」の絵画、「てのひらの闇」の広告、「蚊トンボ白鬚の冒険」の株取引といった素材を再投入、さらには、酒以外にはホットドッグしか出さないバーを舞台装置として「テロリストのパラソル」の世界観、登場人物に接続する総決算的な作品となっている。「テロリストのパラソル」のアル中バーテンダー島村と著者自身を足して2で割ったような主人公の造形といい、広告業界の内情の踏み込んだ筆致といい、なりふり構わぬ全力投球ぶりは、本書の中の言葉を借りれば“未来永劫”を考えない腹の据わりを感じさせる。退職、癌宣告といった著者の私生活と決して無縁ではないだろう。本著には著者略歴が記載されていないが、本作自体が著者プロファイル、といった趣がある。主人公の38歳という年齢が、藤原伊織本人で言えば「ダックスフントのワープ」でデビューした時期に当たっていることも興味深い。
 藤原作品の主人公は、ハードボイルド作品の常としてダンディズムを身につけている。その“美学の中味”には正直辟易する部分もあるのだけれど、“やせがまんの矜持”だけではなく“弱さ”も自覚しているところに共鳴する。主人公は“赤の他人に自分の弱点を無条件に晒すことのできる”人間には結局勝てないと実感している。本書の評価は、弱さを晒さずに現実の虚飾を生きてきた団塊世代(主人公の実年齢と乖離はあるけど)が、「あの時代にもどれるとしたら...」「どんなに貧しくても、あの時代にみんながもどれたらいい」と本音を漏らすことの是非によっても分かれるだろう。
 メール、Webといった新しいメディアと電話の使い分け、プレゼン案のディテールのリアリティなどはさすが。吉田修一の「パークライフ」の舞台だった日比谷公園がこの小説でも印象的な場面で使われているが、大手町、銀座からほどない距離のあの場所は、現実から過去への回路なのかもしれない。
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 十分に楽しめる作品, 2007/1/9
レビュー対象商品: シリウスの道〈上〉 (文春文庫) (文庫)
2006年度版このミス10 6位。
2005年文春ミステリーベスト10 7位。

大手広告代理店の副部長、辰村がこの作品の主人公である。
25年前の大阪で友人明子のためにおこした事件とそれに関連した脅迫事件を軸に、新規ネット証券会社のCM獲得のための活動、女性上司との恋、新入社員の成長をうまく絡めて、一級の作品に仕上げている。
作者が広告業界出身のせいか、その内幕を読むだけでも十分に楽しめる作品である。一方、作品の前半部分では一般人にはなじみの薄い広告業界用語が登場人物の説明無くぽんぽん使われており、内容をつかむのがすこし難しかった(なぜか作品の途中からこの問題は解消する)
作品のエンディングもありきたりの終わり方でないのがよい。
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