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5つ星のうち 5.0
男たちの諍いと、女たちの団結, 2010/11/30
レビュー対象商品: シリアの花嫁 [DVD] (DVD)
女たちが集まって、花嫁の支度を手伝っている。
笑わない花嫁モナの傍らで、彼女を励まし続ける姉アマル。
まるで市場に連れて行かれる子牛のように不安げなモナ。
結婚式を録画するためやって来たカメラ。それを見るであろう花婿に向け、アマルが言う。
『私たちには永遠の別れ。宝物をあなたに託すわ。どうか大切にしてやって…』
第三次中東戦争によりシリアから分断され、イスラエル占領下に置かれたゴラン高原。
両国の思惑の中、ゴラン高原に残された住民たちは、『無国籍』という扱いになっている。
モナは、シリアでTV俳優をしている、親戚ではあるが一面識もない男に嫁ぐのだ。
シリア側に渡ればシリア国籍が確定し、イスラエルが所有を主張するこの地には、二度と戻れない。
モナやアマルの父親は親シリア派の闘士で、投獄された経験もある。
政治活動を理由に、娘が超える軍事境界線への接近を禁じられている。
そこへ、祖国を捨ててロシア人と結婚し子供をもうけた長男、
女好きで、各国を飛び回り少々怪しいビジネスをしている次男が帰ってくる。
三男はシリアで大学に通っており、境界線の鉄条網の向こうで姉モナを待っている。
…前半は花嫁側のひとりだけの結婚式を挙げるまでの一族のいざこざを、
後半は境界線を超える際の、両国の四角四面の決まりに翻弄される様を描いている。
砂色の風景の中で、どこまでも伸びる鉄条網と、その向こうの緩衝地帯…。
映像としても、物悲しくもどこか郷愁を誘い、美しく思える遠景。
ここは水源地帯としても価値があり、それ故の占領地でもあるという。
男たちは花嫁の父と長老たち、父と長男、父と警察署長…と、諍いばかり。
女たちは姉と妹、長女とその娘たち、姑と外国人の嫁…と、性を共通点に支え合っている。
長女アマルの冷え切った夫婦関係。夫の発言からも、この国での女性の地位の低さが伺える。
プライドや面子に凝り固まった男達をよそに、この姉が妹の幸せのために東奔西走する。
『扉をたたく人』で、アメリカに不法滞在する青年の母親だった女性がアマル役を演じる。
知的で美しい人だ。いつも寂しげに寄せられた眉間の下の目が、それでも不屈に輝いている。
観終わって少し調べた所、ゴラン高原といえば、日本の自衛隊もPKO活動をしており、
その派遣期間は現在まで続き、派遣活動の中で最長であるという。忘れていた自分を恥じた。
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5つ星のうち 5.0
久しぶりの傑作でした, 2010/5/18
レビュー対象商品: シリアの花嫁 [DVD] (DVD)
イスラエル占領下のゴラン高原。
そこから、シリア領に嫁いでいくモナの一日を追った話。
イスラエル占領下のゴラン高原を舞台に一日が過ぎていきます。
テレビでした見たことのない花婿に嫁ぐモナ。
しかも、嫁いでしまえば、もう二度と家族のもとには帰れません。
花嫁は結婚式のあいだずっと笑顔を見せず、悲しい表情のまま。
夫との不和を抱え、大学に進学しようとするモナの姉。
イスラエル内通者と恋に落ちる姉の娘。
父と息子の不和。
わずかな時間のあいだにあらゆる人間関係が静かに展開されていきます。
ラストは感動のあまり涙が止まりませんでした。
久しぶりに見た傑作です。
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5つ星のうち 3.0
複雑な家族模様と人の繋がりの大切さを描く, 2010/1/20
レビュー対象商品: シリアの花嫁 [DVD] (DVD)
国境線を越えて嫁に行く一人の女性。行ったら母国には帰れない。その大きな出来事を通してその女性の家族や、それに関わる人間たちの関係を描く。いなくなる一人の家族に対する悲しき気持ち。切なさや、今までの思い出がこみ上げてくる様子が心に沁みます。特に姉役の人の表情がとても豊かで、妹が嫁に行く嬉しさと同時に、寂しい気持ちも表していて、辛い気持ちが伝わってきました。この結婚という出来事を通し方々から集まってくる家族。その家族模様も見どころの一つだと思います。分かり合ってない父親と長男。久しぶりの再会にも辛辣な表情。難しい、人間同士の心の溝。また姉とその夫の夫婦生活の行き詰まりや意見の相違。そしてその間に生まれた娘の心境も、大事な映画の語るところだと思う。あとお調子者の次男がいたりと、場の和む場面もあったりします。
国境を越えるわけで、厳しい規制や審査があります。警察が出てきたり、特に国境警備員の態度は心底腹が立ちました。数々の困難に直面しながら、それらを乗り越えようと努力し前へ進んでいく。そして助力してくれる温かき人々。血の繋がっていないその家族に真摯に接するその姿は、強い責任感を感じるとともに、人の繋がりの大切さを物語っている気がします。