1950年の映画「シラノ・ド・ベルジュラック」。ホセ・ファーラーがこの映画でアカデミー主演男優賞を獲った。
17世紀の詩人で剣豪で哲学者のシラノがロクサーヌに恋する。剣を持てば右に出る者のいないシラノもその醜い鼻の為にロクサーヌに自分の気持ちを告げる勇気がない。一方のロクサーヌはシラノの気持ちを知らず、若くて美男子の剣士クリスチャンに恋をしていることをシラノに告げる。シラノはロクサーヌの為にクリスチャンを守ることを誓う。そしてシラノは、詩歌の才能の無いクリスチャンに代わってロクサーヌに恋文を書く。また二階のテラスに現れたロクサーヌに庭のクリスチャンの陰でクリスチャンに代わって恋を語りかける。やがてロクサーヌとクリスチャンは結婚。しかしクリスチャンは戦死してしまい、ロクサーヌは修道院に入る。
シラノは毎週修道院に行って、ロクサーヌに世の中の出来事を話して聞かせる。ある日もシラノは修道院に向かうが、途中で仇敵に襲われ重傷を負う。彼は怪我を隠してロクサーヌの許へ行き、語りかけるが、もう力が無い。「ロクサーヌ、一度でよいから君の胸に下げているロケットに入っている手紙を読ませてくれないか」。クリスチャンの血とロクサーヌの涙で滲んで読めなくなった手紙を彼女はシラノに渡す。シラノはちょっと目をやった手紙から目をそらすと、語り出す。「思うにいよいよ今宵にこそ、いともいとも懐かしき君よ、・・・」 ロクサーヌはハッと気がつく。「その血と涙で滲んだ手紙を、しかも、こんな暗いところで、どうしてお読みになれるの? そのお声は!」「いや、違う。私ではない」。あくまでロクサーヌに自分の気持ちを知らせまいとするシラノ。
この映画は結果を知っていながら何度見ても滂沱の涙。