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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
期待を裏切られることの密やかな楽しみを味わえる作品集,
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レビュー対象商品: ショート・プログラム―あだち充傑作短編作品集 (少年サンデーブックス あだち充傑作短編集) (新書)
この「ショート・プログラム」にある作品のいくつかは「肩透かし」の物語だな、というのが読了後の感想です。巻頭を飾る「近況」は中学時代のクラス会が舞台。和彦は4年ぶりに会うマドンナ的存在の女の子・亜沙子が中学時代にはスポーツ万能の同級生・年男ではなく編物好きの自分のほうに実は好意を寄せていたということに遅まきながら気づきます。当然読者は和彦と亜沙子の間にこれから新しい「出直しの物語」が始まることに期待を寄せます。 ですが結末ではこの期待はものの見事に肩透かしをくらいます。そして意外と心にしみる気の利いたオチが読者を待っているのです。 「むらさき」では生徒会長・美奈子が学校の不良グループをなんとかしたいと思い、好意を寄せている同級生の村崎に手助けを依頼します。しかし面倒が嫌いな彼に断られ、彼女は今度は転校生の巻原に協力を求めるのですが、この巻原には実は裏の顔があり…。 結末ではこの美奈子と村崎とが落ち着くところに落ち着くのだろうと誰しも予測するでしょうが、この予測も最後は肩透かしに遭うのです。そしてこの期待はずれの物語も、このほうが良かったと納得させるだけのエンディングで読者を迎えてくれます。 あだち充の「タッチ」や「みゆき」は、落ち着くところに落ち着かせることで多くの読者の支持を得ました。しかし、落ち着かせないことによってひとの心を大いにくすぐるような物語をあだち充はここで紡いでいます。従来のあだち充ワールドとはちょっと違った世界に触れられる楽しさがこの短編集にはあります。
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