表題作「ショートカット」を含む全4編の短編集。
遠距離恋愛、とりわけ「距離感(ショートカット)」をテーマにした、柴崎友香にしてはかなり珍しい「連作短編」タイプの小説。
繰り返し同じ人物が、他の短編に登場する作品が少ないだけに、そこにまずかなりの違和感を感じたが、その人物が言わずもがな重要人物で、素晴らしい作品群を時には中心で、時にはさりげなく動き回った。
「距離」には心の距離と、物理的な距離があって、各主人公達は物理的な距離を越えようとして、意識して、考えて…そして心の距離でショートカットする。
切ないエピソードが多くて、ともすれば暗くなりそうな話を、暖かく包み込む、人に対する視点や感覚、感情の妙は圧巻。
カバーには主人公の後ろ姿とタイトル、そして距離を「ショートカット」する表参道の町並み。柴崎友香はもちろん、装丁師にも拍手を送りたい。素晴らしいです。ハードカバーの単行本の表紙はさらに素晴らしいので、ゼヒ見かけたら手にとって見てください。
「この階段を降りて、地下鉄の路線図を見て行き先を決めようと思った。あのカラフルな路線図から、好きな色を選ぶ。だって、わたしはどこにでも行けるから。」 本文47ページより