中学生の頃、FM番組で試写会の券が当たって見に行った映画です。内容は全然分からなく、ただ近藤真彦の『さよならバンザイ』を歌い踊る2シーンと材木場での追跡シーンが印象に残る映画でした。そうそう、「先生覚醒剤打たれちゃって可哀想」というのと「ええっ、ロッキー刑事と“セクシャルバイオレット'bP”の人が悪役なの」と変な所で衝撃を受けていた覚えがあります。今考えればこういう目茶苦茶ぶりが相米監督ならではで、子どもだてらに案外着眼点が良かったのかも。
数年前相米監督が早すぎる死を迎えWOWOWで急遽追悼作を放映したのですが、その時セレクトされたのが本作でした。それまで私はこの映画の存在を完全に忘れていて、「あの変な映画が代表作?」なんて思ったのですが見直せば何とも壮絶。冒頭8分の長廻しが有名ですが前述の材木場やアジトでのクライマックスのシーンも一気に撮っており、相当のリハーサルがなされたであろう事やスタッフの労苦が偲ばれるのです。そうして出来たシーンは「完璧」とか「壮麗」としかいった類の画面ではなく、何だかよく分からないドライブ感に満ちていて岡本太郎的「芸術は爆発だ」になっています。彼が国内よりも海外で評価が高いことがよく分かります。
かつて長谷川組助監督を務めた相米監督は徹底して反骨の映画を撮りました。汚れ歪んだ大人の世界に子ども達が清新な瑞々しさで立ち向かっていく、そんな映画を監督は撮り続けました。子役を平気で橋から飛び降りさせたり、河合美智子を男湯に入れて胸をさらけ出させたりするとんでもなさは実は子ども達へのエールです。「俺も歯を食いしばって体制に刃向かってきた。お前達もたくましくなってくれ。」と言わんばかりに。そして「奴は一生分撮りきって逝っちまった」(長谷川和彦)しかし当時の子ども世代は確実にその意志を受け継いでいます。今でも邦画は面白いものが作られていますよ、監督。