ショパンの色々な分野の曲集の中でも、
ノクターンで気に入った演奏に巡り会えることは少ない。
その中でこのルービンシュタイン盤は20年以上聞き続けている大のお気に入りです。
長く2枚別売りだったものがセットになって、しかもこの価格で、
まだノクターンを持っていない人は必携です。
ルービンシュタインの肩の力の抜けたおおらかな音は、
いつもリラックスして聞くことができますし、
テンポ・ルバートの取り方もとても洒落ていて気分がいいです。
一番の名演は1番変ロ短調です。感情は極力抑えたような演奏ですが、
なんと表情豊かに響くことでしょう。必ず気に入られること間違いない演奏です。
有名な2番変ホ長調も、派手さを抑えたリラックスした演奏が楽しめます。
7番嬰ハ短調と8番変ニ長調もいぶし銀のような深い感動を備えた演奏です。
2枚目は、大曲の13番が堂々として素晴らしいのは勿論ですが、
14番嬰へ短調と19番ホ短調が私のお薦めです。
特に14番は、テンポの取り方で名曲にも陳腐な曲にも
押しつけがましい曲にもなりますが、
コーダ部の和音の音が、感情を抑えに抑えた表現で、深く感銘を覚えます。
また19番は、他の演奏家のように華やかに弾くのではなく、
老人のように枯れたはかなさのなかに残された情熱を感じられるようで、
人生の奥深さを感じさせます。
このルービンシュタインの演奏は録音が古くて、
今ならもっとピアノらしいピアノの響きを収録したものもあるでしょうが、
何ものにも代え難いものがあります。
ピリスやポリーニの新盤購入をも躊躇させるだけの存在感が私にはあります。
本当にお薦めのアルバムです。