わずか33歳でこの世を去る数カ月前、一時的な回復期に自宅に録音機材を持ち込んでの録音と聞く。1950年ということもあり録音状態は良くないが、天上の音楽を聴くかのようなワルツに聞きほれてしまう。
大時代的な演奏が珍しくなかった当時にあって、このような端正な演奏でもって聴衆を魅了したリパッティの音楽をもっとも良く伝えているのがこのCDだろう。単に端正なだけでなく、隅々まで行き渡った誠実なエレガンス。夜の詩人と形容されるショパンだが、リパッティの演奏は、天上のワルツと呼ぶにふさわしい。このような演奏が可能であったとは、まさに奇跡としか言いようがない。
この奇跡の演奏のわずか数カ月後、冬のブザンソンの演奏会で最後の一曲を残してリパッティは力尽きてしまうのだ。
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