夜中一人部屋で全曲を聴き終わったあと、思わず「なんじゃこりゃ…。」と、ぼそっと呟いてしまいました。彼女は数あるノクターン集の中で、誰にも似つかない全く新しいノクターンを披露してくれたのです。というよりも、近年における様々な演奏家たちの個性的な解釈によって独り歩きしつつあるノクターンを、真のあるべき姿に構築し直した演奏と言えるかもしれません。
細かい指示を無視しないようにと常に楽譜と睨めっこしながら演奏するそのウルトラ真面目な性格と硬質なタッチから生み出される演奏の素晴らしさたるや、同じネイガウスの流れをくむ往年の巨匠たちも「あっぱれ!」と称賛しているのではないでしょうか。
作曲家ありきに徹底するこの厳しいスタイルは、ノクターン演奏にありがちな甘くてうっとりするような表面的な美しさを排除し、作品の本来持っている美しさを神々しい領域まで引き出しています。これによって、私はメジューエワの凄さと同時にショパンの凄さを改めて感じることができました。この盤は、今後のゴールデンスタンダードになる可能性を十二分に秘めていると思います。