付録の CD を聴くと、たしかに、レベルの高いコンペティションだったことが分かる。私は、2位のヴンダーより、3、4位のトリフォノフとボジャノフが気に入った。優勝者のユリアンナ・アヴデーエヴァはヤマハを弾いている(とうとう、ヤマハが1位になってしまった)。1位から5位までの6人のうち(2位が二人)ヤマハが2人、スタインウェイが2人、ファツィオリが2人。
「なぜ日本勢はふるわなかったか!?」という記事と「結果に対するポーランド・メディアの反応」が面白かった。後者ではポーランドの新聞に醜いカットで写されたアヴデーエヴァの写真が見える(目をつぶった写真とか)。アヴデーエヴァは、ポーランド人には嫌われているのだろう。
アヴデーエヴァは私の好みに合う。彼女の「幻想ポロネーズ」は前半はつまらないが、同曲の 7' 00 あたり(13' 53 の演奏の中間部)からフィニッシュまでの彼女の演奏に私は吸い込まれてしまった。審査員長ヤシンスキのコメント「(アヴデーエヴァは)音と音の間でも大きな意図を表現できていた」というのは、そのとおりだと思った。
ショパンは19世紀において前衛的な作曲家であった。しかも、極めて高度な演奏技術と強烈な個性を持つピアニストであった。そのことを私は、アヴデーエヴァの演奏を聴いて、再認識させられたような気がする。ショパンを演奏するには、いままでになかった何かが要求される時代になったように思える。その意味では、彼女のショパンコンクール優勝は、世界中のピアニストをびびらせただろう。