「切株」とは、映画で人体が破壊・切断される描写を指す。
「切株派」。それは、映画を観る悦びの半分ぐらいは、切株表現にあると信じる人たちの集まり。
<以上、本書からの引用>
前作『ショック! 残酷! 切株映画の世界』が刊行されてから約1年半が経過した。
その間、切株映画シーンはますますの盛況を呈し、『片腕マシンガール』『東京残酷警察』『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』『ブラッディ・バレンタイン 3D』『ランボー 最後の戦場』など、次々と鮮烈な切株描写がスクリーンを彩ってきた。
そんな活況の中に満を持して落とされた禍々しい衝撃、それが切株派書籍第2弾である本書『ショック! 残酷! 切株映画の逆襲』だ。
充実した第1弾の内容に引けをとらない、様々な作品群を網羅した膨大な情報量に圧倒される。
世界切株映画ポスター集から、残酷表現の変遷、ドイツ映画、インドネシア映画、モンド映画、アメリカ映倫MPAA、去勢映画、トム・サヴィーニの偉業、フランク・ヘネンロッター、ティム・バートン、リドリー・スコット、ジム・ヴァンベッバー、パスカル・ロジェ、マイケル・ベイ、切株ノワール・ブックガイド、『HELLSING』、牧口雄二、増村保造、大映『ガメラ』路線、小水ガイラ、佐藤寿保、三池崇史、西村喜廣……など、途方もない切株世界が本書の中に広がっている。
この“切株”という、問答無用で強烈なインパクトをもたらす視覚表現を、多くの映像作品から丹念に収集し、その人体破壊描写を的確に捉えた画像とともに紹介していく筆致は、おどけたりふざけたり悪ぶったりすることなく、ただただ淡々と冷徹であり、その表現のインパクトをイノセントな驚嘆をもって受け止め、その創意工夫溢れる表現に敬意を表しつつ、真正面から個々の切株表現に向き合っている。
残酷と形容される人体破壊描写のある作品を、ヒステリックに糾弾し、強硬な抗議によって表現の多様性を抑圧しようとする、いわゆる“良識派”の暴力的な主張に対比して、本書全体を貫いている、切株という豊穣な表現を見つめる揺るぎない眼差しは、極めて理性的で先進的な文化受容態度であると思えてならない。“切株派”という思想によって我々の視野は大きく開放され、そこには限りない可能性を秘めた豊穣な表現の光が差し込んでくる。視界が眩い光に満たされてホワイトアウトする忘我の快楽、そんな心地よい読後感を、本書はもたらしてくれる。