とにかく、見ていて、息つく間もないほど、前のめりになって、物語の進行を追いたくなる上手い舞台であり、歌劇でもあります。
ここで、マクベス夫人に擬せられているカテリーナ、嫁ぎ先商家の息子である夫の留守中に、愛人と結ばれます。これに気付いた父親をまず毒殺し、やがて、愛人によって、夫も亡き者とします。これで、夫人にとって、ことは思い通りになったかに見えます・・・が、これ以降の筋書きは慎んでおきましょう。ご覧になってからのお楽しみです。
父親役の演技と歌唱力に圧倒されます。カテリーナの悪役振りは、メイクと言い、歌唱力と言い、また、格別です。一見、罪に対して、必罰という厳しい戒律的側面があり、また、それとなく性的交渉を彷彿させるシーンもありますが、実際に、スターリンによって、上演が厳禁にされた理由は何だろうと推測しますと、官憲が賄賂に弱い場面が出てくからではないだろうかと思われます。さらにまた、平凡な日常に飽いたカテリーナのような豊かな商家夫人が、浮気で人生を満たされようとするその姿勢に対しても、スターリンは怒ったとも思われます。芸術作品ですから、芸術作品としての観点から、見て欲しかったと残念です。
舞台として、歌劇として、文句なく、鑑賞できる貴重な上演がブルーレイとして収録されている素晴らしい一枚であると思います。