著者はショスタコーヴィチのウェブサイトをやっているとのことだが、その類のものに疎い評者には本書はありがたい。
伝記部分など先行研究を踏まえた記述は堅実であり、作品解説も妥当なものだろう。
音盤紹介では、著者自身の好みが出るのは当然であり、そのことで論ってみても詮無いことだ。
著者はまた、ローレル・ファーイ著『ショスタコーヴィチ』の固有名詞チェックを担当していたということであり、本書でも索引と巻末資料が有用だ。ショスタコ・ファンなら持っていてよいものであり、推薦盤はあれこれと私的なベスト盤と較べる愉しみがあって星4つは十分。
大して売れもしない(失礼)手間隙のかかるこんな本が1,900円で買えるのだから、ほとんど感嘆するしかないではないか。
まあマニアほど、本書への評点は辛くなるかもしれないが。伝記部分、作品成立の経緯等については、本書の参考資料にも出ている千葉潤『ショスタコーヴィチ』(音楽之友社)が一層詳しく、便利だ。