【あらすじ】
錬金術アカデミーの生徒イルゼは、天才でありながらも自らの意志でアカデミーを
去ったアニカを連れ戻すよう、アカデミーに依頼される。アニカがアカデミーを去
った理由――それは、錬金術とは全くの無縁の《チョコレート職人》を目指す為だ
った。
巷で評判のチョコレート店《トロイメリッシュ》のパティシエに弟子入りしようと
半ば強引に居座るアニカ。そんなアニカを見つけ、何とかして連れ戻そうとするイ
ルゼ。二人の押し問答が続く中、事件は起きた。なんと、アニカが《トロイメリッ
シュ》の工房を失敗から爆破してしまい、その修繕が終えるまでイルゼも店に残る
ことになってしまったのだ――
【感想】
『ショコラの錬金術師』というタイトルは、この一冊を読む 限りでは作品に合って
いませんでした。 強いて言うなら、『ショコラと錬金術師』でしょうか……?
ショコラと錬金術があまり溶け合っていないので、ショコラと錬金術を作中でもっと
絡めて欲しかったです。と、言うより……ショコラは食べる一方で、錬金術に至って
は殆ど話に絡んできません。 錬金術を期待して読むと肩透かしを食ってしまいます
ので、 イルゼやアニカが、錬金術をきらきらっと披露するシーンがあれば、 良かっ
たのではないかと思います。
アニカが工房の修繕の為に残る事になりましたが、その修繕の過程が描かれていない
のも、展開的に不自然な気がしました。
文章、表現についてももうちょっと頑張る必要があると思います。絵の喚起力が乏しく、
情景が全く浮かんできませんでした。情景については、例えば、「真珠色の月」のよう
に「真珠色」 を安易に多用してしまったり、味の描写についても、「芳醇な」を複数使
ってしまったりと、語彙不足が感じられました。状況が分かりづらい描写もあり、誰が何
をしているのかが すぐにピンとこない個所もありました。
展開もご都合主義なところがあり、がっくりしてしまいました。ミュートスの花を手に入
れる過程においては、どうやってこの困難を切り抜けるのだろう、とわくわくしていたら、
あっさり手に入れてしまいますし……事件もさる方の助力で難なく解決してしまいますし、
全体的に都合が良すぎで、話が薄い印象でした。
更に、帯に「甘々ラブ」という言葉がありますが、ラブも全然深くも甘くもなく、ラブ面
においても薄味でした。
キャラクターはとても魅力的で良かったと思いますので、今後の作品に期待したいと思い
ます。