バーンスタインがウィーン・フィルを指揮したこのシューマン交響曲全集は、第1番から第4番まで、いずれもが評論家諸氏の極めて高い評価を受けている折り紙付きのものである。
晩年のバーンスタインは、たとえば1986年録音のチャイコフスキー交響曲第6番や、1987年録音のマーラー交響曲第2番でのように、極端に遅いテンポを取って、独自の世界に入り込んだようなところがあったのだが、1984年から1985年にかけて録音されたこの全集では、全体的に、晩年のバーンスタインらしからぬ、オーソドックスな名演奏を披露している。
第1番と第3番については、バーンスタインと評価を二分する、クーベリック指揮バイエルン放送響盤と聴き比べてみた。そのクーベリックは、精緻で、パワーに頼らない柔らかい響きが特徴の演奏を繰り広げているのだが、両曲とも、基本的には明るい曲だけに、鳴らすところはしっかり鳴らしているバーンスタインと比べると、明らかに、推進力、迫力不足で、物足りなく感じてしまうところがある。
第4番は、緩急の変化を大きく取ったバーンスタインに対し、終始ゆったりとしたテンポのチェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル盤が、どちらも彫りの深い名演奏を聴かせているが、スケールは、チェリビダッケの方が大きい。どちらを取るかは、好みの分かれるところだろう。この曲では、モノラルのフルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル盤が、この曲のベスト盤ともいわれているのだが、私には、バイロイトでのベートーヴェン第9のような強烈なインパクトを感じる演奏ではなかった。
第2番は、4曲の中では、最も地味で、聴かせ方の難しい曲であり、率直にいって、私は、この曲で評価を二分しているバーンスタイン盤、シノーポリ指揮ウィーン・フィル盤よりは、チェリビダッケ盤、カザルス指揮マールボロ音楽祭管盤の方が、この曲の欠点を補う上手い演奏を聴かせていると思う。