ロベルト・シューマン(1810-1856)が1837年9月、27才の時に完成したダヴィッド同盟舞曲集作品6と管弦楽のない協奏曲作品14(別名ピアノ・ソナタ第3番)の組み合わせである。
この曲名の『ダヴィッド』は旧約聖書のダビデのことで異教のペリシテ人を倒す若き王にして音楽家である。シューマンは新しい時代のために保守的な敵対者と戦う架空の『ダヴィッド同盟』を日記の中で結成しているのだ。その構成メンバーは自分の2つの分身フロレスタン(情熱的行動家)とオイゼビウス(瞑想的夢想者)、キアリーナ(最愛の婚約者クララ)、老練な分別の人ラロ(クララの父でピアノの師ヴィーク)である。つまりこの曲はシューマンの夢想の中の同盟の曲なのである。
この曲は実に美しい曲である。まさに夢見心地である。1837年初版を弾くポリーニはシューマンの夢を見事にカタチにしてくれる。ショパンの24の前奏曲やベートーベンのディアベッリのようにほとんどが1分以内のこの曲集を美しく紡ぐ。第16曲1:36から第17曲3:08・第18曲1:48の張りがあって響く演奏のダイナミックさが特に見事だ。
もうひとつの管弦楽のない協奏曲作品14(別名ピアノ・ソナタ第3番)の方もポリーニは1835/36年初版を採用している。この辺にポリーニの意思が出ている。