1988年7月18-24日西ドイツのノイマルクトで録音。ブレンデルの第一回目の即興曲である。
ブレンデルは数少ない著書『楽想のひととき』(1978年)の中で、シューベルトについて1章をさき、約30ページに渡りシューベルトのピアノ・ソナタ論をはっている。そしてシューベルトについて次の4つの偏見を否定している。
1.シューベルトのスタイルは発展しなかった。
2.シューベルトはベートーヴェンのソナタを模倣して失敗した。
3.シューベルトの音楽は、オーストリアの風景の柔らかい、優しい輪郭に似ている。
4.シューベルトのピアノ曲は『ピアニスティック』ではない。
いずれも詳細な作品例を楽譜も交えて解説していて当時大変感心した記憶がある。そのシューベルトをおそらくは全ピアニストで最も理解しているブレンデルの即興曲は格別の美しさだ。特に作品90 D.899の第2番・第3番の演奏を推したい。