若くして大著を世に問い、大蔵大臣を経験し、黄金時代を迎えたハーバード大学経済学部の重鎮として多くの教え子を送り出したシュンペーター。しかしそれは、挫折と苦悩の生涯でもあった。その人生において、彼は何を見て、何を考えたのか。
前半を伝記に充て、後半でその思想と理論に言及する本書は、ケインズ革命に直面し、その波にもまれて取り残されていったシュンペーターを描き出す。そして、その非ケインズ的な部分(本書流に言えば「長期のヴィジョン」)や、例えば新古典派的な普遍理論だけでは理解できない「特質」への注目など、その現代的意義についても言及する。
その意味で、シュンペーターの思想をその文脈に沿って理解するためには、前半の伝記部分は飛ばさずに読み進めたほうがいいだろう。