「あとがき」に、著者自身は「シュルレアリスムの専門家というわけではない」と書いてあります。
バタイユの専門家のようで、バタイユの訳書や入門書を書いています。
本書は「私の視点でかまわないという編集者の言葉に勇気付けられ」て書かれたものです。
そのため必然的にバタイユとの対比などを通してシュルレアリスムを理解する内容が多くなっています。
私はシュルレアリスム絵画を展覧会で見たことはあっても、その背景についてはほとんど知らなかったので本書を手に取りました。
内容は基本的に時系列です。
第1次世界大戦という近代人が引き起こした悲劇に対する怒り。それと同時に戦場の異様な光景に放心してしまう体験。
それらを契機にフロイトの理論を取り入れながらどのようにシュルレアリスムが誕生したのか。
その後のシュルレアリスムは共産主義や全体主義とどのように関っていたのか。
脱近代化の先駆的な試みとして、シュルレアリスムが目指した「革命」はどのようなものだったのか。
途中ではブルトンの詩の解釈も行われます。最終章にはシュルレアリスム絵画のガイドのような内容も含まれています。
シュルレアリスムの説明はわかりやすいです。
それでもバタイユが頻繁に登場するので、「入門書」と呼べるのかはわかりません。
私は入門できたと思いますが。