今後、縮小していく都市に対してどのような問題が生じ、そしてどのように対応するべきであるかが、多彩な専門家によって語られている。対策は基本的に著者である大野先生のファイバー・シティが主軸となっているが、このファイバー・シティを理解していないと、各人の話は多少見えにくいかもしれない。全般的に、本として主張するような骨のある考えは大野先生のファイバー・シティ以外はなく、各人がそれぞれの専門の立場からいろいろと意見を述べたり、興味深そうな取り組み事例を紹介しているだけであり、それはそれで内容は面白いのだが、その多くはシンポジウムでの発表を編集したものということもあり、これは雑誌もしくはムックで出すべき内容であったと思われる。単行本で出すほど、その賞味期限は長いものではないだろう。
縮小問題はこれから長期的に、我々が取り組み考えなくてはいけない課題ではあるのだが、その点は妙にぼかされている。フィリップ・オスワルトの立ち位置もこの本だと見えにくい。ちょこっとだけ紹介するのであれば、むしろ除外した方がよかったのではないだろうか。シンポジウムであれば、このように整理されていない情報がどんどん出てくるのは歓迎である。自分で編集することができるからだ、しかし、単行本として出すのであればしっかりと出版社が編集を考えるべきであっただろう。というか、やはりこの内容は雑誌、ムックにすべきであったと思われる。内容自体は面白いだけに逆に残念である。