ブラジルにいた堀口大學は、
隣国ウルグアイで文学活動をしていたシュペルヴィエルと
何度かやりとりを交わしながら
この詩人への共感を深め、
入魂の訳詩業を行い、
「シュペルヴィエル詩集」を完成させた
この本の119頁にある言葉
「この孤独の中にいて僕はこんなにあなたから遠い」
「舟あと」という魅力的な詩は、
こんなふうに始まる
「舟あとだけで、舟は見えなかった
そこを過ぎたのは幸福だったのだ
目ざす行手の岸辺が近づくと
二人はお互いの眼の奥で見交わした。
岸近い林には鹿が気ままに跳びたわむれていた。
涙の無いこの国に狩人は入らない」
堀口大學はあとがきに書いている
「シュペルヴィエルの作品は
いかなる前衛詩人に劣らぬほど前進的だが、
けっして不可解に陥らない」