結論から言えば、シュトヘルは良作であるように思います。作者がこの人だから、前作があの皇国の守護者だから面白いはずという補正抜きで、良いものです。
どこが具体的に面白いのかといえば、多数の人が言う通り重厚な世界観でしょうか。まだ2巻という短さですが、何度読んでも新たな発見があり、その都度物語に引き込まれます。原作者がいないで、前作のように深い作品を作れるのかと若干不安でしたが、杞憂だったようです。
次に、この物語の核が「文字」であること。ここに僕は惹かれました。初めこそ、命をかけて「文字」を守るという行為に感情移入できるものなのかと、ここでもまた不安になりました。しかしこの漫画は、文字が流通していない物語の舞台を漫画の随所で丁寧に伝えてくれています。読み進めるにつれ、この世界における文字の重要性が理解できました。そして2巻。「明日わたしが死んでも消えないのか?−わたしの仲間の名前は…この文字が憶えていてくれるのか?」この言葉で、不安は無くなりました。
惹かれる要素の最後は、やはり絵です。僕は伊藤さんの描く表情が大好きです。そしてカラーの一枚絵は特に秀逸であるように思います。色遣いがとにかく鮮やかで、巧い。思わず見入ってしまいます。
大きく分けてこの3つが、シュトヘルを良作とする理由です。
では何が不安なのかというと、それは月一連載になってしまったことよる進行の遅延です。
初めから、世間でも週刊連載は無理だろうと思われていた連載。この処置は当然の結果ではあります。連載して約一年、その間で単行本2冊というのはあまり珍しくありません。確かに、シュトヘルとユルールの関係、置かれている状況、シュトヘルはなぜ死んだのか、これらさまざまな疑問を把握しかつ読者を物語に引き込むためには、この物語の書き込みは必要なことでしょう。
僕は待ちますが、心配なのは、他の読者が離れてしまわないかということです。現に僕の周囲では、早速読むことを断念する友人が数人出てきている次第でして…。だから余計不安に感じるのかもしれません。
皇国は打ち切りであったとはいえ、綺麗な終わり方でした。しかし、もしシュトヘルも単行本5冊ほどで打ち切りなどになってしまえば、物語の性質上どうしてもモヤモヤした終わり方になりそうで…。中でも、過去話で終わってしまうのが一番の不安です。良作であるが故に、強くそう思うのです。
好き勝手しゃべらせてもらいました。以上です。不快に思う人がいたら申し訳ありません。
末永く付き合っていける作品になってくれることを願います。伊藤先生、頑張ってください。
内容は間違いなく星5つなのですが、挙げさせてもらった不安要素から−1。星4つの評価ということでお願いします。