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シュタイナー教育の現場が中心ではあるが、それに限らず農業、建築、銀行、医療などの現場をも実際に訪ねる。それぞれの現場でシュタイナー実践者が何をどのようにするかを具体的に描きつつ、その理論的解説もさりげなく差し挟んで展開してくれる。娘との対話もコラム風に随所に。
アントロポゾフィー、オイリュトミー、フォルメン、エポックノートといった独特の言葉や概念についても学校の授業の具体的な進行の中でひとりでに分かってくる。
いわゆる「障害者」をどのように考え、なぜ援助をするのかなどを、理論と実践を結びつけて描き出している。お金より人間を大事にする銀行などは新鮮なおどろきである。建築とか農業においては、生命、精神といった非物質的なものを建物や作物の中に如何に取り込むか、を具体例で示す。例えば肥料については、牛の角を使って、その中に牛糞を詰めて冬中土中にねかしておき春にどのように変化し肥料化しているかを示して紹介する。そのあたりは、理解を超えるところもあって本書の生き生きした記述を要約するのがむずかしい。
ミヒャエル・エンデと「シュタイナー」の関係も興味深いエピソードが紹介される。
近頃、競争社会の形相がいっそう強まり、その悪影響かと思われる事件がうち続くことを思う時、「シュタイナー」をその実践と効果の面から考えてみることは、それへの賛否はともかくとしても意味あることと思われ、そのための手頃な書物ということができる。
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