94年放映の第6シリーズは異例ずくめだった。やはり主役であり、翌年他界してしまうJ・ブレットの体調が画面越しにも目につくほどに痛々しい。次巻収録の「マザランの宝石」撮影中についに発作で入院してしまうくらいだから、どんな状態かわかるだろう(なので、代役として兄・マイクロフトが登場する)。まさに命を削ってまで打ち込んだ“役者魂”を見る思いだ。
で、今巻収録の「金縁の鼻眼鏡」でもこのシリーズ異例中の異例な出来事が。なんと、相棒たるワトスンが不在なのだ!なんでもE・ハードウィックのスケジュールが合わなかったらしく、苦肉の策で、ここでも兄・マイクロフトが相棒として登場してくる。そう、第6シリーズは、正典では“人嫌いで出不精”という設定のはずのマイクロフトが終始出ずっぱりの巻が2話もあるという、マイクロフト・ファンには堪らない(笑)作品となっている。まぁ、シリーズレギュラーのC・グレイが重厚な演技で、そんな外野の野暮な批判をシャットアウトしており、これはこれで面白い作品となっている。
何しろ弟・シャーロックをして、自分より優秀といわしめる兄である。相棒とはいえワトスンとは描かれ方が一味違う。この相棒、一緒に現場に乗り込んだと思った矢先、自分ひとりで結論を見つけちゃうやいなや、弟にヒントだけ授けてとっとと帰っちゃうんだからさ(笑)。
もうひとつの「赤い輪」では(こっちはちゃんとワトスン登場するも、大きなチョンボをしてしまうんだよね…)、体調が悪いはずのブレット演じるホームズの(最後の)快活な所作が楽しめる作品。太った体型や顔色の悪さは相変わらずながらも、屋根裏から屋根伝いを身軽にかつ颯爽と行き来する様が拝めるところがうれしいんだよね。