グレナダTVの第三シリーズ「事件簿」の第一作である。
「レディー=フランシスの失踪」は、原題は「Disapperance of Lady Frances Carfax」で誤りはないが、延原訳の「フランシス・カーファックス姫の失踪」に慣れている者には、一瞬何の話かわからなかった。第四短編集「最後の挨拶」の6番目、通算42作である。
さて、題名だけでなく、この作品は、原作とは大きく異なっている。原作では、スイスのローザンヌで失踪したカーファックス姫の捜索に、ロンドンを留守に出来ないホームズが、ワトソンを派遣して電報で指示すると言うところから始まるのに、この作品は、一人で湖水地方を旅行中のワトソンが事件に巻き込まれることになっている。
この変更で、ワトソンの主体性が変わってしまった。原作にある、医師としての必死の救命活動も割愛された。
最後にホームズが登場するところは同じとしても。
「ボスコム渓谷の惨劇」は、原題は「Boscombe valley Mystery」でずいぶん戻って第一短編集「冒険」の4番目の作品である。これは、すでに結婚してホームズとのベーカー街での共同生活を解消したワトソンにホームズから、支援要請が来るというもう一つの作品とは、逆の出発となっている。
わずかな単語から意味を探り出す「暗号解読」部分やタバコの灰の研究までホームズの探偵学の基礎がふんだんにちりばめられているし、ロミオとジュリエットのような設定も華やかである。
ただ、原作で出てくるレストレードが登場しないのは残念である。それと、ホームズ得意のずばりといわずに謎解きする部分がコメディーのように演出されているのも残念である。
そんなわけで☆1つ減点。