本書は、世界中のシャーマニズムを概観する(おそらく)最初の書物である。著者自身が述べているように、(また、下巻の解説でも触れられているように)そのために不備な点も多い。
特に感じたのは、雑多な記述がとりとめもなく続いているような部分があり、世界のシャーマニズムの様相を統一的に捉えられないという点である。(詳細な儀式の記録が延々と書かれる部分があるかと思えば、重要な点について単に仄めかすに留めたような部分もある)
例えば、本書でまとめられている研究対象がどのように取捨選択されたものなのか不明確である。多くの民族(部族?)におけるシャーマニズム的営為が語られているものの、なぜその部族を取り上げているのかがよく分からない。意地悪に言えば、単に先行研究があったからそれについてまとめました、という感じの節が多数存在している。正直、もう少し要約できたのではと思わせる。
とはいえ、本書のような書物をまとめるのは(少なくとも当時は)エリアーデ以外にはできなかったことであろう。その意味で、シャーマニズム研究史における画期的な成果と呼べる本ではある。シャーマニズム研究は、民俗学的な手法で行われることがほとんどであり、その知見がこうして宗教学的に統合されることは稀有である。本としての評価は★4つにしたが、学術的な価値は文句なしの★5つだろう。
今後、本書の上にさらに研究が進み、一般にも分かりやすいシャーマニズム研究の概説書が出版されることを願っている。