ハリウッドに渡った亜州影帝チョウ・ユンファがひさびさに主要キャストで出演したハリウッド作品。發仔(ファッチャイ)ファンとしては見ないわけにはいかない。しかも、共演にコン・リー、渡辺謙、菊地凛子ときている(ジョン・キューザックを無視するわけではないが、最近の作品では「2012」くらいしか印象に残っていない)。もちろん、Blu-ray 単体での発売だったので迷わずに購入した。
ミカエル・ハフストローム監督の作品は「ザ・ライト」しか見ていないのだが、もしかすると彼はセンセーショナルな題材や迫力ある映像だけに力を注ぐことを潔しとしない、作家性にこだわる監督なのではないだろうか。そのために「ザ・ライト」は味わいこそあるものの、地味な作品になってしまった。そしてこの「シャンハイ」も、サスペンスやアクションの要素よりもアンソニー(チョウ・ユンファ)のアンナ(コン・リー)に対する愛や、タナカ(渡辺謙)のスミコ(菊地凛子)に対知る愛を中心に描いたため、いまひとつカタルシスを感じられない展開になっている。
また、監督自身がスウェーデン出身のためか、アメリカ映画にありがちなステレオタイプで中国人や日本人を描いていない。さらにチョウ・ユンファやコン・リー、渡辺謙ら豪華キャストへの遠慮もあったのか、彼らのキャラクターが中途半端なものになった気がする。この場合、むしろ中国人や日本人をステレオタイプで描いた方が物語としては盛り上がったかもしれない。そして「孫文の義士団」のようにとは言わないまでも、史実を基にしながらもサスペンスやアクション映画としても楽しめる作品になっていれば逆に豪華キャストも生きたのではないだろうか。