思う存分書きあげた、
沖縄の作家の一品、ともいえる。
かなりぶっ飛んだ発想で、
ディテールは展開されながら、
一本通った本筋はダイナミック。
森の浸食によって、
地上に人が住むことは難しい時代。
しかし、貧しい人たちは、
そこで生きざるを得ない。
地上から高くそびえる大きな仮想都市“アトラス”に住むのは、
特権階級や、裕福な家庭、
あるいはくじ引きで当たった一握りの幸運な人たちでしかない。
それはランクによって格付けされた世界。
充分な空間はあるにもかかわらず、
未だ、差別はなくならない。
そして、その差は、直接命にかかわるものである。
大きな伏線に富んだ上巻を受けて、
その謎が解き明かされる。
炭素経済のスタートから終焉。
なぜアトラスが作られたのか?
皇位継承者とは?
その継承者の3人のつながりは?
ゼウスとメドゥーサ、どちらが生き残るのか?
すべての謎は、
新たな未来の幕開けのためでしかない。
二転三転しながら、
大団円(?)に向かっていく。
かなり、
ぶっ飛んだ表現のため、
軽いコメディのようにとらわれそうだが、
とんでもない。
この差別は、
沖縄を差別し続けた大和民族への批判であり、
天皇制を未だ固持する体制への批判である。
思い切ったそのパロディは、
クローン人間まで現れ、
かなり強引な皇位継承者たちのオンパレード。
そして、新たな“天皇”が現れない限り、
この国が救われないというのは、
彼独特のブラックユーモアである。
これに発想を得て書かれたという『テンペスト』もまた、
ぜひ読んでみたい。