以前名ばかりはマントヴァーニ楽団だけれども、元祖とは違うものを聴いてしまったようで、随分時間をロスしました。
このCDは元祖「マントヴァーニ 1905〜1979」による演奏(が主体)。全然違います、本物は。
ところで、マントヴァーニのことを初めて本気で意識したきっかけは、実は戦前のメンゲルベルグ−アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団の録音のベートーヴェンの田園交響曲の第二楽章を評した言葉の中にあったのです。
そのCD解説者は
「この田園第二楽章は何としたことか!
マントヴァーニ顔負けのポルタメント・・・他にない演奏・・・」
私も聴いてて田園の第二楽章だとはすぐわからなかったほどの、甘いうねりの極上の気品に満ちた調べでした。メンゲルベルグも相当なものです・・・
ところでマントヴァーニ顔負けの田園第二楽章がメンゲルベルグなら、メンゲルベルグも脱帽しそうな「マントヴァーニ」ってどこにいるの?
コレ以来「マントヴァーニ顔負けの」という言葉が脳裏から離れず、探し求めたが徒に時が過ぎ人も去る中、ついに本物のマントヴァーニのサウンドを手に入れました。
聴くやいなや、あの「マントヴァーニ顔負けの・・・ポルタメント」の意味がようやくわかりました、ようやく。
本CDの解説冊子には「マントヴァーニ・サウンドとは」として、カスケード・ストリングスが述べられています。
それによると、これはマントヴァーニとアレンジャーのロナルド・ビンジとの秘伝で、ストリングスを予め幾つかに分けてあたかも幾筋もの滝がきらきら流れ落ちるようなイメージを与えるアレンジ法、と。
もちろんシャルメーヌ、魅惑の宵などはこのアレンジで天下一品。
またロナルド・ビンジの作曲した「エリザベス朝風のセレナード」などを聴くと、曲はリズミカルなのに典雅な演奏で、この楽団のもつ往時のノーブルさ・気品さを感じとれます。
音楽においてよいものは、モノ録でも全く関係なし。
孤独なバレリーナ(モノ)を聞いたら、誰でも美しさの極みと思う。録音もDECCAだからいいし。良質のヘッドフォンで聴くとさらにわかります、音の流れが。
いやはや、非常に勉強になりました。
ところであの「変なマントヴァーニ」って? いや、もう忘れましょう。