あまり翻訳物の小説を読まないのですが、美しい装幀につられ読みました。面白かったです。
魔術や狂気、幻想といった言葉がまだ残る19世紀末のニューヨークが舞台。屏風越しに語りかけてくる夫人の話から肖像画を描くという依頼を請け負った画家に降り掛る狂気を描いていきます。
屏風の向こうの夫人はどんな人物なのか、どんな過去を持つ人物なのか。それを追いながら物語がまわります。主人公が混沌の中に引き込まれていくように、読んでいる自分もぐいぐいと物語の中に引き込まれていきます。物語に力があります。
そしてフィナーレへ。謎の霧は晴れて行くのですが、ご都合主義でもなく、時代が持つちょっとした狂気を残したまま物語は終わります。そのエンディングもとても好ましく感じました。
シャーロックホームズのドラマのような香りを醸し出すような作品でした。