近年、何本もの伝記映画が制作・上映されるなど、活況を呈するココ・シャネル周辺。それに一歩先んじて刊行されたのが本書です。一見、自叙伝の体裁を取りながら、虚実を織り交ぜた内容には一筋縄ではいかないところもあり(訳者あとがきより)、それがまた伝説の主・シャネルらしいです。
とにかく膝を打つような警句、名言が満載! ココの機知と毒舌が全編にわたって炸裂していて、とりわけ女性に対する辛辣なコメントには大笑いできます。ストラヴィンスキー、ディアギレフ、コクトー、アポリネール、ピカソなど、当時の第一級の芸術家達がこれでもか!と登場してくるし、20世紀初頭のフランスの経済的な豊かさや文化的な爛熟度の描写もリアルです。何よりホンマもんのヨーロッパのセレブ達の想像を絶する贅沢の水準には圧倒されること請け合い。負け惜しみのように「清貧」を称揚する日本人には想像もつかない世界です。
ここ数年で読んだ本の中でも常にBest5以内にランクする、実にインパクトと破壊力のある一冊です。アートやファッションに関心のある方、社会的自立を考える女性はもちろん、ぜひ男性諸氏に一読をお薦めする次第です。