内容紹介
「シャコンヌの情景」ヴィオラによる300年の回顧 300年をかけシャコンヌを巡礼する壮大な旅 ドイツ、ボヘミア、北欧、そして21世紀のアジア=日本へ 1500年代末、スペインを起源として生まれた三拍子の舞踏形式「シャコンヌ」はヨーロッパ各地で発展し、モンテヴェルディ、メールラ、フレスコバルディ、クープラン、リュリ、シュッツなど多くの作曲家たちがこの形式を用いた作曲を行いました。そして1720年頃成立したといわれるバッハの無伴奏パルティータの終曲「シャコンヌ」をもってその頂点が極められたとされています。 このアルバムは「シャコンヌ」を語る上で欠かせない「頂点」バッハ以降21世紀までの300年の変遷を、ヴィオラという楽器の視点を通して俯瞰する壮大な企画です。レコーディング日数だけで一般的なホール録音の3~4倍にあたる8日、音源編集には半年もの日数をかけた空前の力作アルバムです。 バッハのアイディアの直接的な手本となったビーバーのパッサカリア、バッハのシャコンヌのヴィオラ版、ヘンデル=ハルヴォルセンのダイナミックな二重奏曲、リゲティ(終楽章が半音階的シャコンヌ)、そしてバッハのシャコンヌ旋律を自由にインスパイアし現代語法へと発展させた野平一郎の「トランスフォルマシオンII」……。その歩みは中央ヨーロッパで大流行したシャコンヌが北欧から東欧にまで拡散し、やがてはアジア=日本にまで達する300年の巡礼の旅──。またそれは日本人としてヨーロッパ随一の名門オーケストラで活躍する金丸葉子が逆方向に辿ってきた道でもあります。 注目の世界初録音となる「トランスフォルマシオンII」(ヴィオラ四重奏)は金丸葉子たった一人の多重録音で行われました。クラシックジャンルでは滅多に行われることのない録音上の試みにより、音色の同一性及び音楽的な方向性が収斂され、エッジの研ぎ澄まされた驚異的な演奏となりました。この作品のひとつの理想形を示し、今後長く語り継がれるであろうものといっても過言ではありません。 金丸葉子(ヴィオラ)/リヴィウ・プルナール(ヴァイオリン)*/録音:2007年7月-2008年1月
アーティストについて
野平一郎:トランスフォルマシオンII(2001)……2001年(21世紀最初の年)にバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番BWV.1004の終曲「シャコンヌ」をモティーフとしてヴィオラ4本のために作曲された。初演は今井信子、店村眞積、川崎雅夫、菅沼準二の4人により2001年5月31日、「ヴィオラスペース」(カザルスホール)で行われた。冒頭のテーマ主題こそ原曲に忠実に和声付けされたものだが、その後の展開は、トレモロの多用、フラジオレット奏法によって奏されるメロディ、強烈な印象を残す不協和音、ユニゾン、ピチカートが用いられるなど、原曲とは大きく様相を異にして発展する。なお、前年に書かれた同じ編成の作品で、この作品と対をなすとされる「トランスフォルマシオンI」は「より古典的なスタイルによる一般的な意味での編曲」(作曲者自身のコメントから)である。
金丸葉子……5歳よりヴァイオリンを始め、19歳よりヴィオラに転向。桐朋学園大学で故鈴木共子、原田幸一郎、店村眞積の各氏に師事。1996年より留学しキム・カシュカシアン、ウオルフラム・クリスト、今井信子の各氏に師事。ヴァレンテイーノ・ブッキ国際コンクールとブラームス国際コンクールで優勝。モスクワ国際ヴィオラコンクール特別賞。ソリストとしてモスクワソロイスツ、バーデン・バーデン管弦楽団、フライブルグ室内管弦楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演。 2004年よりロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ヴィオラ奏者。
リヴィウ・プルナール(ヴァイオリン)
ルーマニア生まれ。エリーザベト王妃国際コンクールやヴィニアフスキ国際コンクールなど多くのコンクールで入賞や優勝。パヴァーヌレコードから多数のCDをリリースしている。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団コンサートマスター。