イタリヤ語通訳トップの才媛女史も一人息子と格闘する普通の母親だったということがよくわかる「子育て記」。
この本に描かれていることは氷山の一角であり、「同時通訳」という、仕事の態様が一定しない中での子育てであり多くの悪戦苦闘の日々があったことが容易に想像される。そして、息子の自立の姿を見たことにより母親として報われたという安堵と開放感を味わい、多年の苦労も自然に昇華していったことによって、この本の内容のような数多くのいい思い出のみを面白おかしく描くことができたものと思われる。
行間に流れるものは息子への母としての愛情と深い信頼だと感じた。息子もそうだが、母親も本来、情愛豊かな女性なのだろう。そして、田丸女史は何事もプラス思考で世間と相対してきたことがよくわかる。
そして型破りの子育て奮闘記が一定の格調を保って語られている『子育て記』としては類を見ないものである。