アシュケナージによる2度目のシベリウス交響曲全集が第4弾となる本盤をもって完結した。第1弾がリリースされてからわずか半年ほどで全集となったわけだが、非常に美しく詩的とも言える仕上がりがとにかく見事。ジャケットのデザインも統一感があって美しく、シベリウスらしいと言える。
アシュケナージのシベリウスは、まさに北欧の自然、風光、景観、気象を描ききったもので、聴き手の感受性そのものに、陽光のように降り注ぐものだと思う。そしてオーケストラの自発性に基づいた内的な感興の高まりが、必然的な美しさを獲得し(オーケストラの素晴らしさも特筆される)、そのことが音楽の持つ理知的な説得力にもそのまま結びついている。
このようなアプローチに、個人的には「洗練」を感じ、気に入る面であるけれど、それは「饒舌さ」とは相対するものなので、そちらが好きな人にはあまり好まれないだろう。でも、この最後のアルバムも実に見事だと思う。一つ一つの音色の余韻が実に美しい。とくに管楽器のサウンドの起伏の描く放物線のようなゆたかなふくらみは得がたい価値であり、弦楽器陣の一つ一つの合奏音に繊細なバランス感覚をやどす雰囲気、例えば、カレリア組曲の第2楽章において弦楽合奏陣の刻む深い深い色合いは感動的である。そして、遠くから聞こえる透明な木管の音色の澄み渡った雰囲気は、まさに北国の空から聞こえてくる音色である。そういった聴き手の感受性に訴える北方情緒に満ちており、私にはとても親近感のわく演奏である。
「これこそシベリウスの醍醐味」といえるものを満喫できる名録音だと思う。